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宇宙は気づいてほしいと思っているようです。


恋愛小説が苦手だ。
どれくらい苦手なのかと言うと、読み終わった後に本を床に叩き付けてパンクロックを大音量で聞きたくなるほどには苦手。
そんな私がこの度、青春恋愛小説を読む機会に恵まれたので、ここに紹介したい。
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「さよならを待つふたりのために ~The Fault In Our Stars(ザ フォルト イン アワー スターズ)~ 」
2012年にアメリカで出版された青春小説だ。
作者はジョン・グリーン。
今年2014年6月にアメリカで映画化され、日本でも2015年2月に公開予定の作品。
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主人公は16歳の少女。
がんと闘病中の。
この少女の交友関係は広くはない。
両親と、病院の医者と看護婦。病気で疎遠になってきた友人。そして、彼女の尊敬する小説家だ。
楽しみにしていることは毎週録画しているお気に入りのテレビ番組を見ること。
そんな彼女が骨肉腫で片足を失った少年と出会う。
彼に出会うまでは、少女は孤独であることに気づかなかった。

少女は自分の生きた証を残したくないと言い、少年は忘れられることが怖いと言った。
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「わかっただろ、おれを君から遠ざけようとしたって君への愛は減ったりしない。どんなに君からおれを守ろうとしたって無駄だ。」
「なんで?なんでそんなに私が好きなの?こんなこともう十分経験したんじゃないの?」

対照的な2人の性格がよく分かるシーンだ。
私はここが一番好きだ。


ありきたりな悲恋ではない。
2人とも病気を抱えているが、じめじめしたところなど微塵もない。
回りくどい恋愛ごっこなどではなく、ストレートで好ましい。
皮肉はあるが、偽りがない。
なにより、爽やかだ。

全体的に若者らしい生意気さも織り交ぜているのだが、ふとした台詞の端々に彼らの純粋さが光る。
彼らの言葉が心を射抜く。
哲学的な文章に心が躍る。

大人の正論を超越するほどの力強さを主人公たちに感じた。
病気であることを逆手にとって、大人たちを利用する強かさも持ち合わせている。

けれども、大人たちを冷静に観察しながらも、いざという時は頼らざるをえない未熟さも愛おしい。


しかし後半になるにつれて、読み進めるのが怖くなって何度も本を閉じた。
読み終わるのが寂しくなった本は久しぶりだ。
ふとした瞬間に彼らのことを思い出して切なくなる。

おそらく10代のころに読んでもわからなかっただろう。
あの頃の私だったら、鼻で笑って読みもしなかったはずだ。
死が身近にあるから、あんなに力強く命を燃やすことができるのか。

最後に、今の私が言える確かなことは、この本を読んで映画館に行ったら呼吸困難になるほど泣けるということだけだ。これだけは、間違いないと言い切れる。





この映画のサントラからCharli XCX(チャーリー・エックス・シー・エックス)のBoom Clap



そしてEd Sheeran(エドシーラン)のAll Of The Stars
この映画のためだけに書き下ろされた曲だ。
原作に現れた言葉たちが画面を彩る。



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